Photo/Saori Kojima
Text/Ayako Futatsuya
純白のクリームの上に、真っ赤なイチゴがひと粒。シンプルでかわいいケーキといえば、ショートケーキの右に出るものはありません。そして、シンプルだからこそお店の個性が出るのもショートケーキです。
新浦安駅の南口を出て、まっすぐに延びるシンボルロードを海のほうへ向かって10分ほど。オレンジ色の看板に緑のテントが目印の『パティスリープルーム』には、シェフパティシエ・野々山裕司さんのこだわりのショートケーキが並んでいます。黄色みがやや濃いふわふわのスポンジと、イチゴがチラりとのぞくクリームとが美しく層をなした断面。見ているだけでも幸せな気分になります。いざフォークを刺して、最初のひと口を運んだら、「あ、おいしい… 」。小難しい感想は出てきません。ただただまっすぐ、おいしいのです。
素材を第一に考える野々山さんが選んだのは、那須の御養卵に、北海道産の生クリーム。イチゴは甘みがあってやわらかく、バランスが絶妙なとちおとめです。「卵は農家から直接仕入れているので、黄身はつまんで持ち上がるくらいどこよりも鮮度がいいんですよ」と野々山さん。生クリームはさっぱりと甘さ控えめで、重たさを感じません。そして、スポンジの下のほうをよく見てみると、コクを出すために最近入れ始めたというカスタードクリームがうっすら。ちょっぴり足された甘さが、満足感をアップさせてくれます。
ケーキ作りに携わって19年。「ごまかさず、素材本来の味を活かしたい」という野々山さんのポリシーが生まれたきっかけはふたつの出来事でした。ひとつは、8年前にフランスで学んだこと。「向こうではでき合いのものは使わず、材料から作ります。手間がかかって時代にも逆行していますが、フランス人は味に妥協しないんですよね」。それ以来、レシピも考え方もシンプルになったのだとか。
そしてもうひとつは、ご自身のお子さんが生まれたこと。「作るものの基準が、“自分の子どもに食べさせたいかどうか”に変わりました」。ケーキの甘さの中にほんのり感じたやさしさは、人を大切に思う気持ちだったのかもしれません。
※記事内容は2016年12月時点のものです
住所 | 〒279-0013 千葉県浦安市日の出1-3-1 MAP |
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電話 | 047-305-6050 |
営業時間 | 10:30~20:00 |
定休日 | 月曜定休 |
その他 | アクセス/JR京葉線 新浦安駅南口より徒歩10分
メニュー/ショートケーキ420円、浦安どら焼250円 |