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浦安舟大工技術保存会・会長 “浦安最後の舟大工” 宇田川彰さん

浦安舟大工技術保存会・会長 “浦安最後の舟大工” 宇田川彰さん

Photo/Saori Kojima
Text/Ayako Futatsuya

浦安舟大工技術保存会・会長 “浦安最後の舟大工” 宇田川彰さん特集

 東京湾に面する浦安は、かつて海苔や貝の生産が盛んな漁師町でした。そして、当時漁師の仕事を支えていたのは、彼らの商売道具である舟を作っていた舟大工。時代の移り変わりとともに町も様変わりし、今や舟大工を生業とする人はいなくなってしまいましたが、その技術を伝承するために尽力する人たちがいます。
 「今から20年くらい前かな。兄に誘われたんです」と話すのは、1995年に発足した「浦安舟大工技術保存会」の現会長を務める宇田川彰さん。もともとはお兄さんが会長でしたが、7年ほど前に引き継ぎました。中学卒業後、15歳で舟大工になった宇田川さんは、既に舟大工として働いていたお兄さんを手伝う日々を送り、6~7 年ほど経った頃には舟の修繕を担当。「舟の補修はそれぞれケースが違うから難しいんですよ。この経験で、臨機応変に対応する力が身についたかも」と振り返ります。

浦安舟大工技術保存会・会長 “浦安最後の舟大工” 宇田川彰さん特集

 実は宇田川さん、この道一本でやってきたわけではありません。23歳で転職し、営業職も経験。その後独立し、建設業の会社を立ち上げました。「舟大工は先がないと思ったからです。兄は『まだできる』と言っていましたが、結局俺は間違っていなかった」。そのため、保存会に入った宇田川さんには何十年ものブランクがありましたが、いざ舟大工道具を手に取ると理屈じゃなく体が動いたと言います。「現役の頃はべか舟しか作ったことがなかったけれど、保存会に参加してから、打瀬船や投網船をすべて自分で作ったんですよ。完成したときは感無量でした」。道具を持つ太く力強い指が見せる丁寧で正確な動き。77歳になっても、技術は衰えるどころか向上しています。
 舟を作ったり修理したりといった活動のほか、小学校で「竹笛づくり教室」をしたり、郷土博物館で親子向けの「べか舟教室」を開催したりと、保存会の取り組みは活発です。でも、宇田川さんが子どもたちにいちばん伝えたいのは、「舟を作ること」ではないそう。「刃物を使う手先の作業にはケガが付きものだけど、こういうものだと知ってほしい。危ないからと避けるのではなく、なんでも経験したほうがいいんです。ものづくりの楽しさを感じてほしいですね」と宇田川さん。「舟大工がいなくなるのはもちろん寂しいけど、時代が流れて需要がなくなれば仕方のないこと」と語る表情には、寂しさよりもすがすがしさを強く感じました。

浦安舟大工技術保存会・会長 “浦安最後の舟大工” 宇田川彰さん

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浦安市郷土博物館
浦安市郷土博物館
住所 〒279-0004 千葉県浦安市猫実MAP
電話 047-305-4300
営業時間 9:30~17:00(最終入館16:30)
定休日 休館日/月曜(月曜が祝日の場合はその翌日)、館内整理日、祝日の翌日、年末年始

浦安舟大工技術保存会は、毎週日曜日には浦安市郷土博物館にて活動中。