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この町のわたしの好きな人(新小岩)
漆手書き札創作工房 AKIRA 小林顕さん

漆手書き札創作工房 AKIRA 小林顕さん

Photo / Takashi Nishizawa
Text / Satoko Nemoto(Sawa-Sawa)

お客さんのほうが 手彫り手書きにこだわるの
漆手書き札創作工房 AKIRA 小林顕さん特集

 木の板に文字を書いた木札の由来は、江戸の町火消し。火事の延焼を防ぐために打ち壊した場所に、組の名前を入れた消し札を立て、心意気を表したといいます。転じて、木札は災厄を避ける縁起物となりました。現在は、役者の名前を書いて歌舞伎座の前に並べる“ まねき”、祭りの神輿に掲げる駒札のほか、祭りのときに首から下げる下げ札、携帯ストラップ、表札などに活躍しています。

手書き札は祭り好きな 江戸っ子の粋なんですよ
漆手書き札創作工房 AKIRA 小林顕さん特集


 レーザー彫りが圧倒的に多い中、手彫りに新漆( 人工漆)で書いた札を作っているのが小林顕さんです。新小岩の自宅兼工房を訪ねると、「これが神輿に付ける駒札。素材はケヤキです」と、できたての駒札を見せてくれました。小林さんも祭りが大好きな江戸っ子。地元の東五丁目を表す「東五」の文字が勇壮に躍っています。

漆手書き札創作工房 AKIRA 小林顕さん特集


 小林さんが木札作りを始めたのは、お母様が亡くなった12年前。喪に服す意味で大好きな神輿を担がない時期がありました。「そのとき、神輿の仲間たちに名入れの木札を作ってプレゼントしたの。遊び半分で始めたんです」。とはいえ、書道や絵の心得があった小林さんの手書き札はクチコミで評判に。「現在、注文は全国から来ます。うちの玄関の表札を見て、通りがかりのおばあちゃんが注文してくれたこともありますよ。手彫り手書きは非効率的だけれど、お客さんがそのほうがいいって言うんだから」 

漆手書き札創作工房 AKIRA 小林顕さん特集


 今では、艶の美しい本つげを中心に、象牙、黒檀、マンモスの牙(!)まで、札の素材はいろいろ。好奇心旺盛で芸術家肌の小林さんは、「今までと同じものを作るより、新しいものに挑戦するほうが張り合いがある」と言います。「床屋さんからの注文には、ハサミと櫛の絵を描いたりね」
「今年で65歳になるから、祭りはほどほどにしないと」と笑いながら、「祭りは大事。年寄りと若者の意見が違ってぶつかることもあるけれど、そうやって受け継がれていくものがある」と熱が込もります。好きな字は、わっしょいの「わ」だそう。「和をもって背負う、の意味があるんですよ」

※記事内容は2015年9月時点のものです

漆手書き札創作工房 AKIRA 小林顕さん

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Data

漆手書き札創作工房 AKIRA
漆手書き札創作工房 AKIRA
住所 〒124-0023 東京都葛飾区東新小岩5-5-10MAP
電話 03-3695-4477
営業時間 9:00~18:00
定休日 不定休
その他 ※訪問の際は要 予約 カード不可 アクセス/新小岩駅 北口より徒歩10 分 木札(小)2160円

【編集担当/ tomozo】
玄関の表札を見て、小林さんに父の日のプレゼントを依頼したのがきっかけでした。芸術家仲間とのつながりを大切にし、仲間の作品も次々と紹介する小林さんから作品以上に「人」への愛情の深さを感じています