Photo/Saori Kojima
Text/Satoko Nemoto(Sawa-Sawa)
東京に住んでいても、めったに見かけることのない江戸野菜。江戸時代から東京とその近郊で栽培された野菜の品種で、品川かぶ、谷中しょうが、馬込半白きゅうりなど、多くに産地の名前が付けられています。
亀戸大根もそのひとつ。『亀戸升本』の「亀戸大根あさり鍋」はその名の通り、ふたつの東京名物をコラボレーションで味わう一品です。
テーブルに運ばれてきたのは、ごつごつした黒い鍋。店長の柏木英司さんが、「溶岩の鍋です。保温と遠赤外線放射の効果があるんですよ」と説明してくれます。ふたを開けると、亀戸大根とあさりのほかに、ごぼう、椎茸、白菜、ネギ、エノキ茸、豆腐、油揚げ、うどんなど、実に具だくさん。「うどんは亀戸天神の太鼓橋にちなんで平べったい形。茹でと揚げの2 種類が入っています。あさりも殻付きとむき身の2種類ですね」
火にかけると、香ばしい味噌の香りが漂ってきます。地元の味噌店『丸定』の自家製味噌をブレンドしているそう。グツグツ煮えたところをハフハフと口に入れると、亀戸大根の個性がよくわかります。きめが細かくかぶのような食感ですが、繊維質が多くてしっかりした歯応え。辛みが強い大根なのに煮込むと甘く、あさりから出るだしが染みて、後を引くおいしさです。「亀戸大根はビタミンCが多く、青首大根の2倍とも言われています。小ぶりなので、調理には手間がかかりますが…」と柏木さん。店の入口に置かれた亀戸大根は、白い根の長さが30㎝ ほどで、ひとつずつ皮をむくのも大変そうです。
「江戸時代は、中洲だった亀戸の香取神社周辺で栽培されていました。土壌がよかったみたいですね。味噌汁や漬物で庶民が食べたそうです」。現在、主な生産地は鹿骨や葛飾区の高砂。夏の間は辛みが強くなるので、北海道や青森の契約農家のものを使うと言います。
『亀戸升本』ではほかにステーキ、寿司、大根餅など、20種近くの亀戸大根料理を味わえます。亀戸大根がいちばんおいしいのは11~4月頃。春を待ちわびながら、江戸の味覚に舌鼓を打つのもオツなものです。
※記事内容は2016年1月時点のものです
住所 | 〒136-0071 東京都江東区亀戸4-18-9 MAP |
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電話 | 03-3637-1533 |
営業時間 | 11:30~14:30(L.O.14:00)、17:00~21:30(L.O.20:30)、土・日・祝日11:00~15:00(L.O.14:30)、17:00~21:00(L.O.20:00) |
定休日 | 第3月曜定休(祝の場合は翌日休) |
その他 | アクセス/亀戸駅北口より徒歩7分
メニュー/亀戸大根あさり鍋1人前2750円(注文は2人前から) ※カード可 |
【編集担当/osa】
亀戸大根あさり鍋は、ヘルシーさも魅力。野菜がたっぷり入っていて、日頃の野菜不足も一気に改消できそうです。またベジタリアンの外国人の方にも人気が高いので、食事処に悩んでいたら、升本のこの鍋をおすすめしてみては?