Photo/Saori Kojima
Text/Ayako Futatsuya
創業時から30年以上「モンモリロナイト」という粘土を扱う粘土科学研究所。3代目の代表取締役を務める手塚平さんは、「物心がつく前からこれで体を洗われてましたね」と笑顔を見せます。同社では主に、OEMといって他社ブランドの化粧品などを製造していますが、手塚さんはオリジナルのブランド「KURUMU」を20 13年に開発。モンモリロナイトの働きを活かした、汚れを「おとす」、潤いを「とどける」、乾燥から「まもる」スキンケアシリーズは、女性を中心にファンをじわじわと増やしています。
「“かわいい”とか、“ モノがいい”ということ以外の付加価値が必要なんじゃないかと思ったんです」。このときに初めて「地元」を意識するようになったという手塚さんは、2015年の夏、葛西にある社屋の1階を改装し「KURUMU」を手に取って買えるお店をオープンしました。「『これ、うちの近くで作ってるんだって! 』と、親近感を抱いてもらえるんじゃないかって。作っている人の顔が直接見えると、安心感にもつながりますよね」
始まりは、手塚さんのおじい様がモンモリロナイトと出会い、シャンプーを作るよう依頼されたことでした。「祖父は研究好きで、自称“ 町の科学者”だったそうです( 笑)。ただ、経営の才能はなかったみたいで、潰した会社は両手に収まらない」と笑う手塚さんは、まるでやんちゃな少年のよう。でも、自身も小学生の頃の自由研究で「界面活性剤を使わないクリーム」を作ったほど、おじい様譲りの探究心と冒険心の持ち主。最近ではモンモリロナイトの特徴に着目し、粘土を使った珍しい歯磨き粉も誕生しました。「泡立たないし、味もしませんが、仕事はしっかりします。汚れは落ちてニオイも吸着してくれるので、スッキリしますよ」と自信をのぞかせます。
「粘土科学という看板を背負っている以上、“ 粘土”がバズった( 話題になった)ときに電話がかかってきて『ワイドショーでしゃべって』と言われる位置にいたいですね」と話す手塚さん。売り上げよりも粘土のおもしろさが広まるほうが嬉しいと、ワークショップなどで地域の人が粘土に触れる機会を増やすことにも積極的です。「商品はかわいい子どものようなもの。ドカンと売れるよりも、ちょっとずつでも好きになってくれる方を増やしたいですね」と、今度は優しいパパの表情も浮かべていました。
※記事内容は2017年4月時点のものです
住所 | 〒134-0084 東京都江戸川区東葛西 MAP |
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電話 | 03-3686-6306 |
営業時間 | 11:00~18:00 |
定休日 | 土・日・祝日 |
URL | http://kurumu.net |
その他 | アクセス/東京メトロ東西線「葛西駅」より徒歩5分 |