photo/Saori Kojima Text/Ayako Futatsuya
上品な佇まいが新浦安の穏やかな住宅街に溶け込む「旬や」。2014年の春にオープンした、串と水炊が自慢の和食店です。これまで120種類もの鶏を食べ歩いてきた店主が振る舞うお料理と、落ち着いた食事の時間を楽しみにやってくるのは、ほとんどが地元の人。開店3年半で早くも〝普段使いのお店〟として愛されています。
今回は、ランチタイムにしかいただけない「親子丼」を特別に紹介します。鶏肉をのせて火にかけられた親子鍋。出汁が煮立つと漂い始める香り。注がれた卵がふわふわになっていく様子。鍋が傾き白いごはんにのせられる瞬間…。親子丼が鮮やかに仕上がっていく過程をカウンターごしに眺めるのも、乙なひとときです。
オレンジに近い濃厚でツヤツヤの黄身にみつ葉の緑が映える、鶏と卵だけの親子丼は、シンプルだからこそ食べた瞬間に〝違い〟がわかります。まずは口の中にふわっと広がる炭の香ばしさに感動、ほぼ同時にとろとろの卵とあいまったほんのり甘いお出汁にうっとり。ごはんの固さも絶妙で、目を見開いてしまうほどの完成度。「これ、また食べたい!」という思いが、ひと口目にして頭をよぎります。
おいしさの秘密は、店主の素材選びと下ごしらえにありました。鶏と卵の組み合わせは試行錯誤を重ね、地鶏の旨みと若鶏のやわらかさを併せ持つ山梨の「美桜鶏」と、青森から仕入れる卵を採用。さらに鶏肉には、味を左右するひと手間を。「皮を前日にあぶっています。こうすることで臭みが取れ、香ばしさが出るんですよ」。そして、自家製のお出汁とお醤油が決め手となり、ふたつとない親子丼ができるのです。
旬やを構える前は、神奈川の飲食店で経験を重ねてきた店主。ご両親の退職と愛娘の小学校入学を機に、自身も学生時代を過ごし「いつかは」と思っていた新浦安に戻ってきました。「この町は住んでいる人が穏やかで、品がいい。〝ゆっくり食事をしてほしい〟というお店のコンセプトにも合っているんです」。町の魅力に店主自らが呼び戻されたように、旬やには「またここへ戻りたい」と思わせる引力を感じました。
※記事内容は2017年10月時点のものです
住所 | 〒279-0012 千葉県浦安市入船4-1-23 MAP |
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電話 | 047-720-2486 |
営業時間 | ランチ水~土曜11:30~14:00(L.O.13:30)、ディナー火~土曜17:00~23:00(L.O.22:00)、日曜17:00~22:00(L.O.21:00) |
定休日 | 月・第4日曜定休 |
その他 | アクセス/JR京葉線「新浦安駅」より徒歩約5 分
メニュー/半熟とろとろ親子丼850円、水炊(1人前)1900円 ※スープに限りがあるため要予約 |