Photo/Kenji Nakata
Text/Ayako Futatsuya
「8年この店をやってきて、こんなポーズするのは初めてですよ…」と、コーヒー焙煎機の横で苦笑い。2011年12月に新浦安の住宅街にオープンした生豆焙煎店「SwellFreshness Coffee」の代表、三浦靖彦さんです。照れ臭さをちょっとだけ我慢していただいたおかげで、表紙の素敵なお写真が撮れました。
店名の「Swell(スウェル)」とは、主にサーフィン用語として使われる“うねり”という意味。「字面と響きが好きで店名にしようと考えたときに、熱湯をコーヒーパウダーに注いだときの膨らみのこともその言葉で表現できるって聞いて」と三浦さん。そして意味はもうひとつ。オープンと同年に起こった東日本大震災が及ぼした被害から、1日でも早く新浦安(頭文字= S)が復興(well =よくなる)するようにとの願いも込めました。
コーヒーとの出会いは会社員時代。「不動産会社に勤めていた頃、現地調査で迷い込んだ場所でこういう焙煎店に出くわして。そこで飲ませてもらったコーヒーに、“今まで僕が飲んでたのはコーヒーじゃなかったんだ”と思ったんですよ」。それをきっかけに、「いつかはコーヒー屋で生きていけたら」とおぼろげに思うようになったんだそう。「ゆるゆると自分のペースでやっていくのがいちばん。余裕がなくなると心がささくれだって、仕事にも悪影響が出ちゃうから」と三浦さんは力を抜いて話しますが、一方で印象的なのはその潔さ。会社を退職するときは「次の仕事はコーヒー屋を」、出店場所は「新浦安の住宅街で」。選択肢はいつでもたったひとつでした。
「浦安はこだわりを持っている人やこの町が好きで住んでいる人が多いですよね。僕も、そういう方たちと一緒にいるのが心地いい」。そう話す三浦さんの丁寧な仕事ぶりにも、しっかりこだわりを感じます。それぞれの豆のベストな焙煎度合いを探るのはもちろんのこと、仕入れた豆はなんと、ひと粒ひと粒手作業で選別しているんだそう。この途方もない作業を何年も続けるうちに「目がめちゃめちゃ衰えました」と笑います。
三浦さんが住宅街での出店を望んだのは「顔を見ればわかる」ようにしたかったから。いつも豆で買っていく常連さん、年長さんのときに「初めてのおつかい」に来た中学生、見かけたら会話を交わす近所の男の子…知っている顔が増え続けています。コーヒーが恋しくなる季節、三浦さんが恋しくなった人もたくさん訪れる予感がします。
住所 | 〒279-0022 千葉県浦安市今川1-3-18 MAP |
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電話 | 047-381-1190 |
営業時間 | 10:30~18:20 |
定休日 | 火曜定休 |
URL | http://www.swellfreshnesscoffee.com/ |