葛西臨海公園から葛西渚橋を渡ると、目の前に広大な青い空とキラキラと輝く青い海が広がります。ここは、2015年、約50年ぶりに海水浴場として復活した人工海岸「西なぎさ」。満面の笑みで迎えてくれたのが、同エリアの水質改善に取り組んできた、NPO法人「ふるさと東京を考える実行委員会」のリーダー・関口雄三さん。地元葛西を中心に、数多くの住宅・集合住宅・宿泊施設・公共施設などを手がけてきた建築家で、「関口美術館」の館主としての顔も持ちます。
この日は、子供たちが素足で遊べる浜辺づくりの毎月第4日曜に行っている活動「ビーチクリーン」の開催日。関口さんをはじめとするスタッフと、ボランティア約40名がゴミの回収作業などに尽力していました。「子供の頃は、海苔養殖やアサリ取り、釣り船のお手伝いなどもしていたんですよ」と関口さん。海苔養と農業を行う半農半漁の家庭で育ち、海で過ごすことが日常だったといいます。その後、工場排水のたれ流しによる汚染、京葉工業地帯土地造成のための海面埋め立てなどによって環境汚染が進み、漁場の環境は急激に悪化。1962年には、東京都内湾の漁業権がいっせいに放棄されました。
「子供の頃に親しんだ東京湾を再生させる」との想いから、1977年に海水浴の復活に向けた行動をスタート。水質調査をみずから行い、東京都にも精力的に働きかけ、1989年には葛西臨海・海浜公園が開園。その後も、「ふるさとについて考える」をテーマに、講演会やコンサート、10万人の署名活動などを行い、約50年ぶりに海水浴場復活を実現させたのです。著書『ふるさと東京再生』でも 「ふるさとのための都市計画に取り組む中で大切なのは、〈あなたと私〉の“と”を意識すること」と伝えています。そんな関口さんの周りには、一人、一人と理解者が現れ、活動の輪が広がっています。長きに渡る活動を支える“やる気”はさらに多くの人に影響を与えるはずです。
関口さんたちの地道な活動により、今年も海遊びが楽しめそうです。海水浴・水遊び体験は7月18日(日)~8月29日(日)、海での泳ぎ方教室、漁業体験、生物解説、紙芝居、ベカ舟乗船などができる里海まつりは、7月18日(日)など10日間を予定。「当会は次世代の子供たちのために活動をしています。ぜひ入会して活動に参加してください」と関口さん。未来を見据えた強い想いが伝わってきます。
住所 | 〒134-0083 東京都江戸川区中葛西6-7-12 MAP |
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電話 | 03-3869-1992 |
URL | http://www.furusato-tokyo.org/index.html |
NPO法人 ふるさと東京を考える実行委員会(ビッグバン株式会社内)