一之江にある自宅で、全国から届いた採れたての野菜の仕分けに追われているのは、野菜宅配サービス「でこぼこマーケット」代表の立田千恵子さん。新鮮な野菜を、米袋をリサイクルした紙袋などでパッキング。通称・タクさんが運転する車で、江戸川区、葛飾区、墨田区、江東区、浦安市、市川市に住むお客さんにその日のうちに届けます。
幼少期から食べることが大好きだったという立田さん。学生時代は、食や子供にかかわるアルバイトを精力的に行い、ドイツで仕事も経験。帰国後、高校生の頃からボランティアで通っていた保育園で保育士として勤務する中で、「“食”を通して人がつながる場をつくりたい」という思いが強くなったそう。「15年間勤務した保育園を、娘が卒園するタイミングで、私も卒園証書をいただきました(笑)。退職の1年前から、『えどがわ起業家ゼミナール』を受講し、講師のすすめで江戸川区の小松菜農家の収穫のお手伝いに。お正月の雑煮に需要が高い青々とした小松菜の一部が廃棄されてしまうのを見て、規格外&訳あり野菜を救済する「でこぼこマーケット」を発案したんです。
全国から取り寄せた中でおいしいと感じたのが、農薬、化学肥料不使用のオーガニック野菜。このうち訳ありで行き場に困っているものを適正価格で販売し、農家さんへの支援につなげたいと「でこぼこ定期便」を2021年8月から本格的に開始。取材当日は、群馬県のトウモロコシや茨城県のキュウリ、千葉県のミニトマト、高知県の放し飼い卵など10種類の食材が集結。梱包内に添えるレシピも好評だそう。「でこぼこおまかせセット(お試し)」3240円など、オンラインショップから注文が可能。「農家さんからのSOSで、余剰野菜の臨時の救済企画も行っていて、仲間がSNSで広げてくれるのでありがたいです」と立田さん。第4土曜に開催のすずうらホーム&西新小岩在宅サービスセンターでの「にじいろマルシェ」に参加したり、障がい者就労支援施設が運営する「気まぐれ飛行船カフェ+ギャラリー」のスタッフと、市川の子供食堂のお弁当作りをしたりとパワフルに活動中。
「おからや、コーヒーかす、リネン生地の端切れなどを、アップサイクルできないかと思案中です。同じ志を持った人たちとつながりながら、世の中のでこぼこたちを素敵に届けたいですね」と、地元への思いを語ってくれました。