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この町のわたしのスキなひと(浦安)
松の湯 風間良介さん(右)・菅野龍一さん(左)

松の湯 風間良介さん(右)・菅野龍一さん(左)

Photo/Saori Kojima
Text/Ayako Futatsuya

ガタガタと音を立てて、シャッターが少しずつ上がるのを眺めていたら、黄色地に赤いロゴのTシャツが目に飛び込んできました。お風呂屋さんの桶でおなじみの、あの4文字に思わず笑ってしまうと、そのTシャツの主で、「松の湯」を経営する風間良介さんが笑顔で挨拶してくれました。

松の湯 風間良介さん(右)・菅野龍一さん(左)特集

境川のほとりに佇む松の湯は、100年以上も前からある浦安市民御用達の銭湯。かつては漁師や河岸で働く人々が集い、水辺で冷えた体を温めていました。東日本大震災の数カ月前に一度は閉業したものの、震災支援のために一時的にもとのオーナーさんが数日間だけ再開。2011年11月に、風間さんと、友人の菅野龍一さんが再オープンさせました。「もともと、石鹸やシャンプー、洗剤などお風呂に関する商材を扱う会社を経営しているんです。その縁でここの後継者を探してほしいと言われたんですが、じゃあ僕らがやりますって。オーナーさんもビックリですよね」と風間さんは楽しそうに笑います。風間さんが経営を始めてからすでに7年以上。今でも、震災後の一時オープンで利用した人が「あのときはすごく助かった」と訪れることがあるそうです。

松の湯 風間良介さん(右)・菅野龍一さん(左)特集

かつて浦安には銭湯がいくつも軒を連ねていましたが、今では松の湯を含め3軒しか残っていません。「寂しいですよね。僕らは、お風呂屋さんが取引先だということもありますが、古きよきものを残したかったんです」と風間さん。利用者の多くは高齢者ですが、なかには近くの大学に通う学生さんも。最近では、「ランナーズステーション」のように使う人もいるそう。「ここで着替えて、走って戻ってきて、お風呂に入っていますよ。松の湯がコミュニティの場所になっているのが嬉しいですね」。驚くのはお湯の温度。なんと45℃もあるそうですが、これが長く通う人には適温なんだとか。

松の湯 風間良介さん(右)・菅野龍一さん(左)特集

東京出身の風間さんの目には、浦安は“結束の強い町”に映っています。「若い人も一緒になって、町を挙げてやっていることが多いですよね。特に三社祭は、浦安がいちばんまとまっているとき。自分の町が好きなんだなと思います」と感心した様子で話します。すると、ガタガタという聞き覚えのある音が。開店前のため取材中は一度閉めたシャッターを、常連さんたちが勝手に開けて入ってきたのです。でもこれは、日常茶飯事。「この町はおもしろすぎる人ばっかり」と、風間さんの大笑いが響きました。

※この記事は2019年1月20日現在のものです

松の湯 風間良介さん(右)・菅野龍一さん(左)

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