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もともと飲食業界でマネージメント職を経験してきた鈴木さんと、都心のレストランで働いていたという星さん。一からのお店づくりは初めてのふたりが、２０１７年のオープン以来二人三脚でやってきました。最初は手探り状態でしたが、数年たった頃にふたりが導き出したのは、“おいしいが大前提。その先を創造する”というコンセプト。「ジャンルにとらわれず、おいしいと思ったものを作って届ける。それでいいんじゃないか」と、“前提”とする料理へ対する星さんの姿勢はシンプルですが、「この料理があるからお客さんを待たせられる」と、鈴木さんは星さんの腕に胸を張ります。そして「盛り付けも空間も、すべてが商品。満足を超えて感動に移す」。これが、ふたりが考える“その先”です。

お店ができるまで「縁もゆかりもなかった」という浦安に、今ふたりが抱いているのは「つながりの強い町」だという印象。「コーヒー屋の常連さんがうちにも来てくれたり、なにかと世話を焼いてくれるお店の方がいたり。周りから手を差し伸べてくれる地域なんです」。安くはないと自覚している価格設定の料理の価値をわかってくれる人も多く、「ビックリするくらい、いいお客さんばかり。助けられてます」と鈴木さん。また、「食だけでなく、楽しいことを発信する場所になれたら」と、さまざまなジャンルの作家の個展を開催するなど、店内でのイベントにも積極的です。

取材中、ときおり冗談を挟む星さんに、すかさずツッコミを入れる鈴木さん。テンポのよさに思わず「漫才みたい」と言うと、「よく言われるんです」とふたりは苦笑い。「営業中はほとんど話さない」というツンデレコンビが生み出す心地よい空気感も、ぜひ味わいたい“その先”のひとつです。