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西葛西に住む人をはじめ　かかわるすべての人を

　美容室の多い西葛西で、増田佳朗さんが『PAUL』を開業したのは、2010年のことです。両親も姉も理容師で「自然とこの業界に入った」という増田さんは、20歳で単身渡英しました。

　ロンドンではヴィダル･サスーンで学んだカット技術に感銘を受け、美容にのめり込んでいきました。｢日本は決められたカリキュラムを学びますが、イギリスは自由。なにをやるかは自分次第でした｣と語ります。座右の銘｢挑戦の先にあるのは成功か成長。失敗とはなにもしないこと｣を胸に、師匠のジェームスさんに付いてファッション誌の撮影や、パリ･コレクションなどのファッションショーの現場にも積極的に参加。その傍ら、ロンドンのサロンでも腕を磨きました。そこのオーナーが店名にもなったポールさんです。｢英語も片言だった私にとてもよくしてくださいました。おかげで技術的にも成長できました｣と懐かしそう。

ヘアを通じて幸せにしたい…　そのために挑戦し続けます

　ロンドンで学んだカットの基礎をベースに、その技術は進化を続けています。1人ひとりに似合う髪形をつくるため人相学を勉強。カットは｢仕上がりのイメージを共有できるよう｣にドライカットを採用しています。｢でも、やっぱり大事なのはカウンセリングです。クール、フェミニンなど、お客様の理想の女性像に近づくためにはどうするか。具体的なアイデアをもとに相談して進めます｣

　｢かかわるすべての人を、ヘアを通じて幸せにしたい｣と言う増田さん。常連さんの中には、その施術とコミュニケーションが背中を押して、プロポーズが成功した人も。｢今ではお子さんも生まれて家族で来店してくれます｣と満面の笑顔。

　オーナーとして若いスタッフが働きやすい環境をつくり、さらに技術向上のためコンテストにも挑戦。忙しい中でも｢みんなが喜ぶ顔が見たい。まずはお客様、スタッフ、家族。自分のことは最後でいいんです｣

　増田さんの夢は｢西葛西の町を歩く人たちがみんなおしゃれなヘアになること｣。そんな未来も遠いことではないのかもしれません